70歳就職支援、高齢者殺到

「70歳現役社会」の実現を目指し、福岡県が4月に開設した高齢者向けの

就職支援窓口への相談が相次いでいる。開設から6日間で180件に上り、

県は職員を追加派遣するなど対応に追われている。「年金だけでは生活

できない」「社会とつながりを持ち続けたい」。理由は様々だが、旺盛な

就業意欲に対し、受け皿はまだ不十分で、専門家は高齢者雇用を促す

ための公的支援の必要性を指摘している。県が4月23日に開設した

「70歳現役応援センター」(福岡市博多区)で、県によると対象を高齢者に

絞った就職支援窓口は全国で初めて。開設以来、今月1日まで平日6日間

で110人が訪れ、電話で70件の相談が寄せられた。相談員2人とコーディ

ネーター2人が職探しを行うが、人手が足りず、県は応援の職員2人を派遣

するなどして対応している。相談者の多くは、「年金だけでは生活が苦しい

ので何か仕事をしたい」「ハローワークでは高年齢というだけで仕事がない」

と駆け込んでくる人たち。元自営業の福岡市西区の男性(69)は「10万円

足らずの年金では生活できず、ハローワークでは仕事が見つからない。

ここは高齢者に特化しているので期待したい」という。機械関係の技術者と

して働いてきた同市東区の男性(67)は「社会とのつながりを持ち続ける

ためにも働きたい」と話す。ただ、センターが紹介できる仕事は、ハローワークに

出されている「年齢不問」の求人や独自に開拓した数社にとどまっており、

これまで就職内定者は1人。県は4月に策定した総合計画で、70歳まで

働ける企業の割合を、現状の16%から、16年度までに30%に上げる目標

を設定。企業への協力を求めるとともに、高齢者が行うまちおこしにも補助金

を出すなど、社会参加も促していく考えだ。

読売新聞