退職給付会計、年金資産配分を開示へ

日本の会計基準づくりを担う企業会計基準委員会(ASBJ)は17日、年金の積み立て

不足を貸借対照表(バランスシート)に反映させることを柱とした新しい退職給付会計

の基準を正式発表した。2014年3月期の連結決算から適用する。新基準は年金資産

の配分など運用状況の詳細な開示も求めており、年金財政の透明性を高める。

年金の積み立て不足は現在、企業が10年程度の期間で毎年分割して費用処理して

おり、総額は有価証券報告書に注記として開示している。新基準では、これまでと同様

の費用処理に加えて、積み立て不足を全額負債に即時に計上し、一方で自己資本を

減額して貸借対照表に反映させる。 年金資産の運用状況など有報の注記での開示も

充実させる。年金資産をどう運用しているのか配分の内訳の開示を求める。年金資産を

債券や株式、その他の資産にそれぞれ何%配分しているか、どのくらいの額を投資し

ているかなどが明らかになる見通しだ。 また期の初めと期末の年金資産や、企業が

積み立てておくべき退職給付債務の増減の状況や損益などをそれぞれ記載する。

企業が期中に年金資産として拠出した額や、退職したOBら受給者に支払った額

なども注記に載せる。毎期の年金財政の変動を外部から把握しやすくなる。

米国会計基準では既に積み立て不足を貸借対照表に反映させることを義務付けて

おり、年金財政に関するきめ細かな開示ルールも導入済み。今回の改正で日本の

会計基準も足並みがそろう。積み立て不足の大きい企業にとっては年金財政の改善

が財務安定に欠かせない課題となっており、開示の充実が企業の対応に結びつく

可能性がある。 1年遅れで15年3月期からは退職給付債務の計算手法も精緻にする。

給付債務の算出に使う割引率を従業員の勤める期間などに応じてきめ細かく計算し

て算出する。

日本経済新聞