雇用調整助成金が縮小へ

政府は国が休業手当の一部を企業に補助する雇用調整助成金を縮小する検討に入った。米リーマン・ショックや

東日本大震災を受けて緩和した支給要件を段階的に引き上げて元に戻す案が有力だ。中小企業の資金繰り環境が

改善しつつあり、危機対応を見直す。仕事がないまま企業にとどまっている人材に成長分野へ転職するよう促し、

経済活性化につなげる狙い。 29日に開くデフレ脱却に向けた閣僚会議で議論する。具体策や実施時期は

夏をめどにまとめる日本再生戦略に盛り込む。景気の回復基調が確認できれば年内にも実施する方針だ。

リーマン・ショックが起きるまで、雇調金の支給は過去6カ月の生産量が前年同期と比べて10%以上減った企業に

限られていた。金融危機や震災、円高進行を受けて政府は要件を段階的に緩和。現状では期間が1カ月で、

生産量の減少幅も5%以上の見込みがあれば対象に含まれる。 雇調金の支給対象者は震災直後の昨年4月

から半減しているものの今年3月でも75万人に上る。危機時は雇用の安全網として評価を受けたが、景気

の回復局面では不採算事業を温存し産業構造の転換を妨げるとの批判がある。

休業中の労働者の賃金の一部を助成する雇用調整助成金の縮小を政府が議論する。

日本経済が回復軌道に乗ってきたのをにらみ、安全網によって雇用を維持する「危機モード」から早晩、

脱出する必要が出てくるとみているためだ。 雇調金はリーマン・ショックのように雇用の大量喪失が懸念される際

、失業者の急増を抑える効果がある。ただ採算が悪化した事業に労働者をつなぎとめることにもなるため、

成長産業への人材の移動を妨げているとの指摘も多い。 政府は物価が継続して下落するデフレから脱却するには、

賃金の目減り↓消費の冷え込み↓企業が人件費を含むコスト削減を強める――という悪循環を断つ必要があると

考えている。「ヒト・モノ・カネ」の動きを活発にして産業の新陳代謝を促す。新興国との価格競争に巻き込まれない

新産業を育てて、賃金水準を引き上げる。これが政府が描く青写真だ。 政府は雇調金の見直しを「ヒト」の移動を

促す対策の一環と位置付け、デフレ対策会議で議論する方針。ただ、肝心の「成長産業」の姿はみえない。

日本経済新聞