人材派遣業、日雇いに厳しい所得制限[東京 社会保険労務士]
業態変える業者も 人材サービス各社が派遣人材の確保に頭を悩ませている。
10月施行の改正労働者派遣法によって原則禁止となる日雇い派遣で、例外扱いとなった
主婦や学生などに、厚生労働省が政省令で厳しい所得制限を課すためだ。ビジネスモデル
を変える派遣会社も出てきた。 「何のための規制だ。働きたい人の職をなぜ奪うのか」。
人材派遣大手ランスタッドの幹部は、改正派遣法の具体的な中身を検討する厚労省部会
を傍聴して語気を強めた。改正法では労働契約期間が30日以内の日雇い派遣は原則禁
止となる。ただ、主婦や学生、副業で働く人などは例外扱いとなるため、ランスタッドでは
主婦層による派遣を強める方針だった。 しかし厚労省は働き手保護の観点から、日雇い
派遣を認める対象は一定の年収以上の層に限るべきだとし、世帯年収500万円をその
ラインとする方向だ。年収制限を国会で提唱した公明党の渡辺孝男参院議員は
「日雇い派遣は不安定で好ましくない。低所得者を守るためだ」と指摘する。 人材業界では
「そもそも高年収の世帯には日雇い派遣が必要ない」と反論。主婦専門の人材派遣
ビー・スタイル(東京・新宿)の調査によれば、日雇いで働く人や意欲がある人の46%は
世帯年収が500万円以下。年収制限は日雇い派遣を必要とする所得層の雇用を逆に
奪うと猛反発する。 売上高の9割を日雇い派遣で占めるフルキャストホールディングスは、
雇用管理代行サービスに業態転換する。企業が派遣からパートなど直接雇用に切り替える
動きが増えるとみて、勤怠管理や給与計算の代行業務を事業の中心に据える。
改正法では親会社が派遣子会社を通じて不当に人件費を削減しないよう、グループ内への
派遣を8割以下と定めた。 グループ内への派遣比率が9割を超える大手メディア系の
人材会社の社長は「グループ内だから業務に精通しているのに」と戸惑いを隠さない。
大手への身売りの動きも出ており、テンプホールディングスは「既に複数のM&A
(合併・買収)案件がある」と明かす。
日本経済新聞
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2012年6月27日 11:43 PM | カテゴリー:社労士