厚年基金9割に改善指導[東京 社会保険労務士]
厚生労働省は10日、2011年度中に厚生年金基金を対象に実施した監査の結果を発表した。
監査に入った127基金のうち9割の113基金で経理の処理や内部監査の仕方などに問題があり、
改善指導した。AIJ投資顧問による年金消失問題では、一部基金のずさんな運営が問題となった。
厚労省は法令や規約に沿って運営されているか今後も監視する。
11年度に改善指導の対象となった項目は、前年度の3・5倍の838項目に上った。指導を受けた
基金はすでに厚労省に文書で改善策を報告した。
AIJの年金消失問題では、専門家ではない運用担当者による集中的な投資が被害拡大の一因と
なった。監査でも、運用資産の構成割合を定めていなかったり、内部に設置して運用法などを助言
する「資産運用委員会」を定期的に開いていない基金があった。
経理処理などでは、帳簿の現金収支を毎日確認していない基金や、複数の決裁者を経ずに伝票を
決裁している基金があった。基金の通帳の管理者が決まっていなかったり、理事長の決裁なしで出納
の責任者が選ばれていたりする例も見つかった。
厚労省は毎年、約600の厚年基金のうち100基金程度を選び監査を実施している。
10年に長野県建設業厚年基金で将来の年金給付に充てる保険料22億円が不明になる事件が
発生したことなどを受けて、厚労省は監査を強化し昨年からは結果の公表も始めている。
▼厚生年金基金 独自の企業年金と公的年金の一部(代行部分)を一体的に運用・給付する
企業年金。ピーク時には1800超の基金があった。しかし、運用利回りの低迷で財務が悪化し、
代行部分を返上する企業が相次ぎ2011年3月末では595基金まで減った。うちトラックやタクシー
など同一業種の中小企業が集まってつくる「総合型」の基金が大半を占めている。
日本経済新聞
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2012年8月11日 11:02 AM | カテゴリー:社労士