高まる海外労務リスク[東京 社会保険労務士]
新興国を中心に、賃上げをめぐる労使紛争などの「労務リスク」が増大している。
日本政府による尖閣諸島の国有化に反発して反日デモが広がった中国では、デモに便乗した
賃上げ要求の混乱も起こり、操業停止に追い込まれる日系工場が相次いだ。それに先立って
7月には、昨年もストライキが起こったスズキのインドの工場で従業員の暴動が発生。生産再開
までに1カ月を要した。 海外での労使紛争の最新状況を統計でつかむのは難しいが、
労働政策研究・研修機構が集めたデータによると、2008年にストなどの労働争議はインドで
423件、ブラジルでは411件あった。日本の52件、米国の15件と桁違いだ。参加人数も日本の
8千人強、米国の7万人強に対し、インドは148万人、ブラジルは204万人と大きく上回る。
経済が伸び盛りの新興国や東南アジア諸国連合(ASEAN)地域は賃上げ要求が旺盛だ。
中国では政府が低所得層の収入増を促すため、最低賃金の引き上げを今後も続ける方針。
格差是正のため賃金引き上げを政策で促す国は多く、労使紛争の火だねになりやすい。
が、労使対立の原因は多様だ。次に挙げるのは自動車、電機、鉄鋼などの産業別労働組合で
構成する金属労協が調べた日系企業の海外労使紛争の例だ。
▼タイの鉄鋼関連企業で労組結成の発起人になった従業員たちが解雇され、経営側と対立
▼インドネシアの電機関連メーカーでは従業員が、事前説明なしに、座ってしていた作業を立ち作業に変更されたなどとしてストを決行
▼ブラジルの工作機械メーカーでは事業所の移転・閉鎖にあたり、解雇される従業員への補償などで労使が合意したが、これを経営側が守らなかったとして労組が裁判所に提訴
労組結成をめぐる争いは企業別組合が広がった戦後間もなくの日本のようだ。賃金以外に、
立ち作業への抗議のように働きやすさへの要求もある。拠点再編成に伴う従業員への補償問題は
企業の競争激化の表れだ。戦後、日本企業が経験してきた労使の問題が凝縮されている。
最近は非正規労働者の処遇向上も重要なテーマだ。製造業を中心とした国際的な産業別労働団体
インダストリオールの南アジア事務所代表、スダルシャン・ラオ・サルデ氏は、「インドは60~70%が
契約労働者。政府内には非正規労働者の労働条件改善を打ち出そうとの意見がある」という。
労働者の要求が幅広いだけに、労使紛争を防ぐには経営側は多面的な対策が求められる。
コマツは11年、中国に展開する生産・販売拠点に年金や医療保険制度を導入。拠点間の報酬水準
の格差是正を進めている。 従業員の技能向上の研修にも力を入れ、現地法人トップや幹部に
中国人従業員を積極的に登用する考え。制度見直しは賃金、人事、福利厚生、教育訓練など
広範囲に及ぶ。 同時に現地で問題が起こったときの対応が経営側の課題だ。日本の本社と
労組が連携し、労組を通じて現地の紛争の原因をつかめれば、早めに手を打って問題を収束
させやすくなる。金属労協の西原浩一郎議長は「海外での事業運営の行き詰まりは労組としても
避けたい」として、海外労使紛争の解決を活動の柱の一つに据え始めた。
現地で紛争が起こると経営側は強硬な対応を繰り返し、労働側は徹底抗戦するというように、
打開の糸口が閉ざされがちになる。「日本側から両者にはたらきかけて話し合いの土俵をつくる」
(金属労協国際局)。日本の労組も活動のグローバル化をめざしており、経営側が協力を得ない
手はない。 欧州企業は国際的な労働団体などとの間で、労働者の基本的権利などを定めた
「国際枠組み協約」を結び、世界の事業拠点運営の規範にしている例が少なくない。労務リスクの
軽減で海外企業は先を行く。 日本企業では中東や新興国での事業が多いプラント建設会社など
がリスク管理に力を入れてきた。日揮は見積もりの段階で為替リスクやカントリーリスクなどを費用
として織り込み、突発的な事態が発生したときの対処方法をこれまでのプロジェクト例をもとに蓄え
ている。
日本経済新聞
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2012年9月30日 5:27 PM | カテゴリー:社労士
