業態見直しリストラ加速、解雇無効求め元社員が提訴
日本IBMの人員削減を巡る動きが訴訟に発展している。最近、退社した元社員3人が10月15日、同社を相手取り解雇の無効と
賃金の支払いを求めて東京地裁に提訴した。今春、56年ぶりの外国人社長となったマーティン・イェッター社長の経営改革に注目が集まる。
27日夜、原告の元社員が出席した労働組合の集会が東京都内で開かれ、原告の一人は「突然解雇されて戸惑っている。
こういうことが続いていいのかと思い、裁判に踏み切った」と語った。 これに対して日本IBMのイェッター社長は「今、起きていることは
人員の新陳代謝だ。人が入れ替わることはどこの会社にもあることだ」と説明する。 今年5月、米IBMの副社長から日本IBMの社長に
転身したイェッター氏は、大都市圏の大型システム開発案件に偏っている日本IBMの現状を問題視した。日本では受注後、「顧客企業
から次々に機能の追加注文が来る。追加料金はなし。利益率は低下しがち」(他の情報技術企業幹部)だからだ。
事実、日本IBMの2011年度の単独売上高は前年度比7・4%減の8681億円、最終利益は同64・8%減の272億円に落ち込んでいる。
イェッター社長は「まずは売上高をいかに伸ばすのかが重要」とクラウドサービスを充実するなどして中小企業や地方企業の取り込みを
進めている。 ただ大規模なシステム構築とは異なり、案件ごとの受注額は下がる。中小企業などを取り込みやすくなる半面、
多くの人員を張り付ける必要がなくなる。これが日本IBM内に「余剰人員」が出る大きな要因だ。
問題は今回のような解雇が日本で法的に認められるかどうか。労働法に詳しい岡芹健夫弁護士によると、(1)会社にその必要性が
十分にあり(2)解雇の回避努力を尽くし(3)人選の基準に合理性があり(4)妥当な手続きをとっているか――が問われるという。
日本経済新聞
2012年11月28日 5:12 PM | カテゴリー:社労士