2012年 12月

65歳雇用で賃金抑制 改正高年齢者雇用安定法

法改正で、企業は来春から段階的に65歳までの希望者全員の雇用を義務付けられることになった。

これに伴う企業の具体的な動きも出始めた。NTTグループは40~50代の現役世代を中心に賃金を

抑制し、65歳までの継続雇用のための原資を確保するという。世代によって受け止め方には違いが

出そうだ。 企業に雇用延長を義務付けたのは改正高年齢者雇用安定法。今も企業の従業員は

65歳まで働けるのだが、希望者全員がそうなるとは限らない。かたや今は60歳から支給している

厚生年金が、来年4月からは61歳からとなり、最終的には65歳支給となる。雇用延長がないと、

60代前半で年金も賃金もない人が出てくる。そこで政府は雇用延長義務付けに動いた。 雇用が

延長される一方で総人件費が伸びないならば、まず考えられるのが人件費の配分の見直し。その

一つの手法が現役世代の賃金を抑えて、その分を60歳以降に回す手だ。調査ではこの手法に

ついて「反対」「どちらかといえば反対」が合計47%。「賛成」「どちらかといえば賛成」の31%を

大きく上回った。反対派の理由としては「現役の働く意欲が失われる」「生活が苦しくなる」が目立った。

世代別に見ると、20代を中心に反対派が多い。賛成派が多いのはやはり60代。賛成派の理由では

「60歳以上の人に安心して生活してほしい」「60歳以上は優れた技術・ノウハウがある」が多かった。

かねてより人口が減少する中で企業が生産性を保つには高齢者と女性の活用が必要とされてきた。

雇用延長で一部にそのしわ寄せが行き、全体の生産性が損なわれるなら本末転倒。総人件費の

あり方も含め、世代間の不毛な対立を招かないような賃金制度を考えたいところ。これまでの制度に

問題があったなら改革のいい機会になるかもしれない。

日本経済新聞