「企業年金が重荷」7割

 有力企業の約7割で企業年金が「業績や財務の重荷」になっていることが、日本経済新聞社が

最高財務責任者(CFO)を対象に実施したアンケートで明らかになった。多くの企業はこれまでも

給付水準の引き下げなどで対応してきたが、なお2割の企業が「将来、給付削減はやむを得ない」

とみている。団塊世代の大量退職を迎え、制度や運用の見直しに動く企業が今後増える可能性

がある。 今回まとめた「CFO調査」は、株式時価総額の上位300社(金融、電力除く)を対象に

アンケートを実施。197社(66%)から回答を得た。 年金が業績や財務に与える影響が

「重くなっている」と答えた企業は71%に達した。一方、「変わっていない」は29%、

「軽くなっている」はゼロだった。 格付投資情報センター(R&I)によると企業年金の平均的

な運用利回りは2010年度がマイナス0・3%、11年度はプラス1・3%。企業の多くが目標と

する2%前後に届かず、資金の追加拠出を迫られる企業も多い。年金や退職金の給付水準に

ついて18%の企業が将来も「引き下げはやむを得ない」と答えた。 過去1年間でも、

年金給付の基準となる利率(給付利率)をファミリーマートが3・5%から1%下げ、

カシオ計算機も給付水準を引き下げるといった動きが相次いだ。 企業は年金運用が低迷し、

将来の年金払いに備えた資産が不足すると一定期間で処理しなければならない。加えて

14年3月期からは積み立て不足が負債に計上されるようになる。財務悪化につながるだけに

対応が急務となっている。

日本経済新聞