正社員の解雇条件

政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)が15日から議論する論点整理案が明らかになった。

正社員の解雇を巡り、どのような条件なら合理性があると認めるかの基準を明確化するよう提起。解雇権の

乱用として無効判決が出た場合に、職場復帰の代わりに労使が金銭で労働契約を終了したとみなす

解決策の導入も検討する。 論点整理は(1)健康・医療(2)エネルギー・環境(3)雇用

(4)創業・産業の新陳代謝――の4分野、68項目で構成する。15日の会議に示し、経営者や学識者ら民間議員

を中心に議論する。安倍政権は規制改革を経済活性化策の柱と位置づけており、政府が6月にまとめる成長戦略

に反映する。 解雇規制は、労働市場の柔軟化に向けて産業界が見直しを求めている。中途採用や若者の

雇用機会を増やせるとの意見がある一方、労働界からは反対論が根強い。 裁判で解雇が不当とされた場合に、

労使が金銭で契約終了の条件を決める仕組みは、欧州では一般的だ。金銭解決を労働契約法で定めれば、

解雇の条件を巡る話し合いの選択肢が広がる。 勤務地や職種を限定した労働者の雇用ルールの整備も検討し、

女性や若者、高齢者が柔軟に働ける仕組みを考える。最長3年としている派遣労働期間の条件付き制限撤廃、

仕事のあっせん時の手数料を企業ではなく求職者側から徴収する要件の緩和も対象とする。 論点整理案には

遠隔地から薬の注文が可能になる処方箋の電子化を盛り込んだ。「ビッグデータ」と呼ばれる膨大な情報の解析事業

の普及策も検討する。販売促進や商品企画に活用する動きが広がっているが、個人情報保護法では原則、

目的外利用にはあらかじめ本人の同意が必要となる。個人情報の定義を明確化し、誰なのか特定できない状態に

すれば適用外として第三者に提供できる制度を話し合う。

日本経済新聞