女性役員登用

安倍首相がすべての上場企業に対して女性を役員とするように求めたことで、今後、産業界で登用の動きが

加速するとみられる。  ただ、製造業を中心に「役員適齢期」の女性社員がいない企業も多く、難しい対応を

迫られそうだ。  日本航空は4月1日付で、客室乗務員(CA)出身の大川順子氏(58)を取締役専務執行役員

に昇格させた。6月の株主総会後の取締役会で正式に決まるが、日航で女性が常勤取締役に就くのは大川氏

が初めてだ。  伊藤忠商事は4月、茅野(ちの)みつる氏(46)を大手総合商社では初めて女性執行役員に

登用した。茅野氏は米国の弁護士資格を持ち、2000年の入社後、法務部門で活躍してきた。伊藤忠は

「全社的に女性の積極登用を進めていきたい」と話す。  世界の主要520社を対象にした調査では、女性役員

が多い企業ほど利益率が高いとのデータもあり、女性登用による産業界の活性化に期待感も出ている。  一方、

特に困惑の声が出るのが、「男の職場」とされる製鉄所を多く抱える鉄鋼業界だ。JFEスチールは長年、理系の

大学院卒を中心に採用し、製鉄所に配属してきたため、昨年4月時点でグループの全管理職約4200人に占める

女性の割合も1%に満たない。  昨年1月、女性活用に取り組む「ダイバーシティ(多様性)推進室」を設置し、

今年4月入社の事務系総合職では女性比率は4割まで増えたが、「鉄鋼業界で女性役員の登用が進むのは

だいぶ先」(関係者)との見方が強い。

読売新聞