厚労相、最低賃金上げ要請
厚生労働省は2日、中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)を開き、引き上げに向けて
議論を始めた。田村憲久厚労相は「家計の所得が増加しなければ景気回復の原動力と
なっている消費の拡大は息切れし、景気が腰折れすることにもなりかねない」と述べ、経済界
に引き上げを要請した。審議会は8月上旬にも引き上げ額の目安を決め、厚労相に諮問する。
最低賃金は企業が従業員に支払う賃金の下限で、時給で示す。現在は全国平均で749円。
厚労相が審議会に出席し、直接引き上げを求めるのは3年ぶり3回目。柳沢伯夫厚労相
(当時)が出席した07年度は14円、長妻昭厚労相(同)の10年度は17円の大幅引き上げと
なった経緯がある。デフレ脱却を果たすためには、政府内では今年も10円以上の引き上げが
必要との声が強い。 6月に閣議決定した政府の新たな成長戦略には「すべての所得層で
賃金上昇と企業収益の好循環を実現できるよう、最低賃金の引き上げに努める」と明記した。
厚労相は「(戦略の)趣旨に沿って、引き上げをお願いしたい」と強調した。 引き上げは人件費
の増加に直結するため、中小企業を中心に経営者側は慎重な姿勢をとる。厚労相は「中小企業
への支援を拡充しつつ、引き上げに向けて努める」と述べ、理解を求めた。
日本経済新聞
2013年7月7日 6:25 PM | カテゴリー:社労士