看護ロボット

医師の後ろを静かについて回り、脈拍など患者の情報を素早く教える。豊橋技術科学大(愛知県豊橋市)と

福島県立医大(福島市)などが、医師の回診を看護師のように手助けするロボット「Terapio(テラピオ)」を

開発した。 多数の器具を台車に載せて病室を回り、手書きでカルテをつける看護師の“代役”となる。

豊橋技科大人間・ロボット共生リサーチセンター長の寺嶋一彦教授は「医師と看護師の負担軽減が期待

できる。コミュニケーション機能を高め、患者さんの癒やしにつながれば」と話している。 治療を意味する

「セラピー」から名付けた黄緑色のロボットは、丸みを帯びたたるのような形で、高さ約1メートル30センチ、

胴回り約2メートル、重さ約70キロ。顔になっている上部画面に触れて操作する。 医師は測定した脈拍や

血圧をロボットへ入力して保存する。画面操作でアレルギーや内服薬の履歴と合わせ、患者ごとに図表や

グラフで表示可能。付属のライトで傷口を照らしたり、診察時の医師と患者の会話を動画撮影したりもできる。

胴体にピンセットなど医療器具を収納、ガーゼなどの消耗品の自動管理もする。黒丸のつぶらな瞳で、

医師らを見失うと泣き顔に変わるなど「患者さんに親しみを感じてもらえるよう表情を持たせた」(寺嶋教授)。

昨年2月に同医大が「医師を手助けするロボットをつくれないか」と豊橋技科大へ依頼。ロボット関連の技術を

持つ地元企業などの協力も得て、約1年かけて試作機を完成させた。同医大の看護師らに試しに使って

もらうと「負担が軽くなる」と評判だったという。

日本経済新聞