2014年 02月

育休助成、代替要員の確保支援

育休助成、大企業にも、代替要員の確保支援、中小向けは使いやすく、政府、15年度にも。

政府は、働きながら子育てする女性への支援策を拡充する。柱となる育児休業では、育休中の

社員の代替人材の確保で大企業も支援することを検討。個人への所得補償などと合わせ、

育休取得を促す。5年間で40万人分が目標の保育の受け皿整備では、2014年度に13万人

分設ける。ソフトとハードの両面の支援で女性の社会進出を加速し、少子化にも歯止めをかける。

育休では15年度にも、育休中社員の代替要員を人材派遣などで確保するための経費助成を

広げる。いまは中小企業だけに助成しているのを、大企業も対象とすることを検討。企業が保険料

を払う雇用保険を財源とした「両立支援等助成金」の見直しを軸とする。政府が6月にまとめる

新たな成長戦略に盛り込む。 現行の助成金は中小企業が対象だ。育休を終えた社員を元の

仕事に戻すことなどを条件に、社員1人につき15万円を年間のべ10人まで支給。だが同じ企業

への助成が5年間に限られるなど、使い勝手が悪い。予算額は年1億円強で年間800人強への

支給にとどまる。 人手が少ない中小企業では個々の社員が担う仕事が多く、派遣では代わりが

務まらないとして助成金の活用意欲がわかない事情もある。そこで大企業向けの助成メニューを

新設して、より活用されるよう見直す方針だ。 中小企業向けの助成も使いやすくする。例えば

支給額や支給人数の上限を引き上げたり、支給期間を10年程度に延ばすことなどを検討。

財源となる雇用保険の財政が景気回復によって好転していることも踏まえ、15年度は予算額を

従来の数倍以上に増やし、1千人以上への支給を目指す。

働く女性の子育て支援で育休と並ぶ柱が、保育の受け皿整備。待機児童の解消へ13~17年

度で40万人分が目標だ。14年度はそのうち13万人分を、保育所やミニ保育所で整備。

企業内保育所への公的補助も手厚くする。 安倍政権は、25~44歳の女性の就業率を12年の

68%から20年には73%に引き上げる目標を掲げる。女性が出産を機にいったん仕事から離れ

就業率が落ち込む「M字カーブ」を改善する狙い。1月の世界経済フォーラム年次会議(ダボス会議)

での演説で、安倍首相は「20年までに指導的地位にいる人の3割を女性にしたい」と述べた。

ただ、育休取得を妨げているのは企業の社内制度やコスト負担以上に、企業の管理職や男性

社員らの意識の問題が大きい。国立社会保障・人口問題研究所の調べでは、第1子出産を機に

退職する女性は全体の6割超。育休が取れそうになかったり、職場に仕事と子育ての両立を応援

する雰囲気がなかったりすることを理由に挙げる人が多い。こうした企業の意識改善を促すのも

欠かせない。

日本経済新聞