外食産業「人手確保難しい」8割
外食「人手確保難しい」8割、タリーズ、資格で時給上乗せ、サントリー系、店員半分の小型店、
本社調査。人手不足が外食企業の大きな経営問題になってきた。日本経済新聞社がまとめた
2013年度の飲食業調査によると、1年前と比べて人材確保が難しくなったと答えた企業は8割
超に達し、前回(12年度)調査より2割以上増えた。パートやアルバイトを確保できず、閉店に
追い込まれる企業も出ている。企業の成長戦略に見直しを迫るだけでなく、日本経済の「成長の
壁」になる可能性も出てきた。 「タリーズコーヒー」を運営する伊藤園傘下の
タリーズコーヒージャパンは6月1日から、コーヒーの豆や入れ方に関する社内資格を取得した
アルバイトの時給を10~30円上乗せする。約560店の約4割を占める直営店が対象で、
「働く意欲を高めて習熟度の高い人材を囲い込む」(荻田築社長)考えだ。
サントリーホールディングス傘下で居酒屋「響(ひびき)」などを運営するダイナックは14年から、
首都圏で約70平方メートルと小型の鳥料理店を出店し始めた。これまで展開していた鳥料理店の
半分の広さで、アルバイトなど従業員も半分で済む。機動的に出店できるため、年5店前後を出す。
アルバイトの募集は個別の店で対応してきた。ただ都心の一部店舗では人が集めにくくなって
おり、個店対応とは別に、本社が一括してアルバイトの募集をかけ、条件の合う店に振り分けて
支援することも始めた。 両社の取り組みは、外食の店舗運営の担い手であるパートやアルバイトの
採用を強化するのが狙いだ。こうした新機軸を打ち出さなければならないほど、人手不足は深刻に
なっている。 日本経済新聞社は、飲食業経営を主な事業とする企業を対象に、インターネットで
経営問題に関する調査を実施。4月下旬までに305社から有効回答を得た。 それによると1年前と
比べて従業員を「全体的に確保しにくくなった」と回答した企業は68・0%。「特定の地域で確保し
にくくなった」(16・7%)と合わせて84・7%に達した。前年度調査より約25ポイントも上昇。2年前
と比べた上昇幅は約45ポイントに達している。 積極出店を続けるコンビニエンスストアなど、
他産業を含めた獲得競争が激しくなっていることが背景にある。十分な人員をそろえられないことから、
居酒屋大手のワタミは14年度に60店を閉鎖するほか、ゼンショーホールディングスは今春に牛丼店
「すき家」で最大120店超の一時休業を強いられた。 人材確保のため時給を上げている企業が多い。
1年間で時給が「高くなった」のは62・2%にのぼる。「変わらない」は36・0%だったものの、
「安くなった」はゼロ。時給の増加幅は3%未満が58・7%と過半を占める一方、3~5%は26・8%、5
%以上も11・6%あった。 ただ、全従業員を対象とする時給アップは収益悪化につながるため、
大盤振る舞いできない。「庄や」など居酒屋約630店を展開する大庄は6月以降、アルバイトの能力
に応じて時給を支払う制度を導入する。店舗運営について複数のチェック項目をつくり、一定基準を
クリアすると時給を加算。やる気を引き出すとともに、採用した学生などに長く働いてもらう。
日本経済新聞
2014年5月29日 5:22 PM | カテゴリー:社労士