改正労働契約法施行

無期雇用転換:改正労働契約法施行から1年 企業対応二分

4月末で書店を退職した女性。「社員を駒と考える会社では安心して働けない」

東京・渋谷のスターバックスコーヒーで現在は店長候補として働く比嘉さん。

「いつかは子どもも産みたい」通算5年以上の有期雇用契約を繰り返すと無期雇用に

転換できるようになった改正労働契約法。施行から1年が過ぎ、4年後を見据えた企業

や働き手が動き始めている。

◇5年で雇い止め

「同じ待遇でも正社員なら辞めなかった」

東京都中野区の女性(28)は、4月末に契約社員として務めた会社を辞めた。

理由は「頑張れば正社員になれる」と信じた会社への度重なる失望だ。

転職サイトで「正社員募集」の文字を目にし、憧れていた書店員の仕事に応募したのは

2年前。ところが選考時に「採用は正社員と待遇が変わらない契約社員になる」と説明

された。理由を聞くと「期待通りの仕事をしてもらえなかった時のため。君の働きに

よっては正社員にもなれるかもしれない」と言われた。

「それなら自分の頑張り次第」と奮起したが、募集時に18万円だった給与は契約時には

15万円で、さらに保険料や税金が引かれた。家賃などの必要経費を除くと手元には

ほとんど残らなかった。

仕事は面白いが、周りを見れば店長も契約。やはり採用時に「頑張れば正社員」と

言われていた。「エアコンは使うな」「客が5人並ぶまでレジを開けるな」−−。コスト削減

を盾にした会社の理不尽な要求も続いた。昨年4月に改正労働契約法が施行されると、他店の

契約店長が雇い止めされたり自宅待機を命じられたりするようになった。「自分の頑張り次第」

との期待はもう持てなかった。

雇用労働者5544万人のうち、パートや派遣などの不安定な有期雇用契約で働く人は

1989万人に上る。その約3割が通算5年を超えて契約更新を繰り返している。

改正労働契約法は2013年4月1日以降の契約期間が通算5年を超えた場合、

本人の申し出により無期雇用に転換できる。

だが独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が昨年7〜8月に全国7179の企業に

行った調査では、何らかの方法で「無期雇用に切り替えていく」と回答した企業は4割。

大学などで非常勤講師を5年で「雇い止め」にする動きも広まっている。

◇正社員化推進も

一方、人材確保のために非正規社員の正社員化を決めた企業もある。

スターバックスコーヒージャパンは4月、約800人の契約社員をすべて正社員化した。

当面は勤務地域を限定した「地域限定正社員」として雇用し、希望に応じて転勤のある

全国社員に転換する。全国社員から地域社員へのシフトも可能だ。同社はこれまでもアルバイト

従業員に有給休暇や賞与を与えるなどしてきた。荻野博夫・人事担当執行役員は「正社員と

契約社員の垣根をなくし、一体感を持って店舗運営してほしい」と狙いを明かす。

東京都渋谷区の店舗で働く比嘉久美子さん(32)も4月から正社員登用された一人。

06年にアルバイトで入社し、店長(正社員)を目指してきた。正社員化に当たり、

「会社の方針を直接説明された。今まで以上に社員としてどう動くべきか、アルバイトを

どう育てるか考えるようになった」と意気込む。

衣料品チェーン「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングも4月から国内店舗で

働くパートやアルバイトのうち希望者を勤務地を限定した「地域社員」として雇用する。

休暇制度などの福利厚生面は他の正社員と同じだが、フルタイムや週5日の勤務条件を外し、

育児などの事情を抱える人にも門戸を開く。

両社に共通するのは「会社の主役は社員」という考え方だ。正社員化で人件費は1〜2割

上がるが「コストではなく、回収見込みのある先行投資」と荻野さん。

柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長も「いい人材が時給1000円で集まる時代は

終わった。会社は雇用と生活を守る代わり、販売員はもっと効率を上げてほしい」と話す。

書店を辞めた女性は今月、大手IT企業に正社員として転職した。前の職場では10年

以上勤めた同僚も転職活動を始めているという。

毎日新聞

千代田区 給与計算代行