ふるさと納税 確定申告が不要

ふるさと納税、簡単に、地方活性化に一役、確定申告が不要、控除の上限2倍。

政府は生まれ故郷や応援したい自治体に寄付すると、所得税や個人住民税が減額される

「ふるさと納税」を使いやすくする。税の控除を住民税に一本化し、所得税の控除を受ける

のに必要だった税務署への確定申告を省略するほか、税金が減額される寄付の上限も

2倍にすることを検討する。地方活性化策の柱の一つに位置づけ、来年度から実施する

方針だ。 ふるさと納税は、居住地とは別の都道府県や市町村に寄付した際に、一定額を

上限に所得税や住民税の控除を受けられる制度。控除を受けるには税務署に確定申告

する必要があり、給料から税金が源泉徴収されるサラリーマンの世帯では不慣れな確定申告

の手続きを嫌い、利用をためらう例も多かった。 税務署への確定申告は主に所得税の控除

に必要な手続きで、政府は控除の対象を住民税に一本化し確定申告の手続きをなくすこと

を検討する。住民税の控除は寄付した自治体が受領書を居住する市区町村に伝達する

仕組みが有力で、寄付した人が自ら市区町村に出向く必要がない方向にする。

控除を受けられる寄付の上限額も増やすことを検討する。現在、控除の上限額は

所得税の一定額と個人住民税の所得割額の1割。このうち所得税の控除をなくしたうえで、

住民税の所得割額の2割に引き上げる。 例えば年収500万円の給与所得者

(夫婦子どもなし)の場合、控除される税金の上限は所得税と住民税を合わせて

2万8000円(寄付額にすると3万円)。見直し後は所得税の控除がなくなり、住民税で

控除される上限が5万円(寄付額にすると5万2000円)になる。 寄付した人は税控除を

受けられるうえ、自治体からふるさと納税の特典(きょうのことば)として特産品をプレゼント

する例も相次ぎ、利用者が拡大している。総務省によると控除を受けた人は2009年度

の約3万3000人から13年度は約10万6000人に、寄付総額も約73億円から約130億円

に増えた。特に東日本大震災を受けた12年度は寄付の利用者約74万人、寄付額

約649億円と大幅に伸びた。 制度の拡充で、寄付する人にとって手続きが簡単になるうえ、

受け取る税控除も倍になるため、利用がさらに増えると期待している。政府は自治体への

寄付の拡大が見込めるふるさと納税の拡充を、地方活性化の目玉に位置づけたい方針だ。

日本経済新聞