女性活躍推進法の成立

女性の活躍、企業手探り、推進法が成立、管理職比率、達成先送りも、人材確保・育成が課題。
企業に女性の登用を促す女性活躍推進法が28日に成立した。先行する大手は子育て支援など女性が働きやすく、キャリアを積める職場づくりに取り組むが、ゼネコン(総合建設会社)など女性社員そのものが少ない業種ではハードルが高い。育成も課題となる。急な女性登用は社員の間に不公平感などを生む懸念もあり、目標達成を遅らせる企業が出るなど各社は手探りを続けている。 女性活躍推進法は2016年4月から企業に女性の採用比率や管理職の割合など数値目標の設定と公表を義務付ける。300人以下の中小企業は「努力義務」とする。 日立製作所は20年度までに国内の女性管理職を12年度の2・5倍に当たる1千人に増やす目標を掲げた。社長と、部長級の女性社員が議論する会議を開くなど女性が活躍しやすい職場整備に力を入れる。セブン&アイ・ホールディングスも16年2月時点で女性管理職比率を課長職以上で20%、係長職以上で30%に引き上げることを目指す。先行する大手の水準は高いが、さらに女性を活用しようとしている。 日本は就業者に占める女性の割合は4割強と欧米並みだが、管理職は1割にとどまり、欧米に比べて大幅に少ない。出産・育児期の30代に離職し、就業率が下がる「M字カーブ」が課題だ。 これまで日本では育休や短時間勤務など子育て中の従業員が働きやすい制度の整備が中心で、女性管理職の育成は手薄だった。ダイキン工業は出産から6カ月未満で復職した従業員に、1年間60万円の保育費補助を支給している。早期復帰は大変かもしれないが、仕事の勘やスキルが鈍ることを防ぐ狙いだ。国内企業でこうした女性のキャリア形成支援の動きが広がるか注目が集まる。 管理職比率引き上げの目標を掲げ、推進してきた企業の間でもまだ手探りの段階だ。資生堂は04年に女性管理職比率を13年までに30%とする目標を掲げたが、13年時点で25・6%と届かなかった。まだ十分な実力を持っていない従業員を無理に管理職に引き上げることを避けるため、30%の目標達成時期を16年に先送りした。 建設など女性社員の数そのものが少ない業種では、女性の採用を増やすことから始める必要がある。日本建設業連合会(東京・中央)によると女性技術者の比率は昨夏時点で全体の3%程度で、これを5年で2倍にする目標を掲げる。清水建設でも管理職のうち、女性は14年度で0・5%だった。19年度までに1・5%に引き上げる目標だが、それでも一般産業界の水準には届かない。

日本経済新聞