2017年 10月

派遣社員の待遇改善

派遣料金2~5%上昇、今月から、待遇改善進む。

 派遣社員の待遇改善が進んでいる。人材派遣会社が顧客企業から受け取る派遣料金は、10月からの水準が派遣大手の平均で2~5%上がった。2020年の東京五輪をにらんで、特に不足感が強い建築業や製造業のエンジニアを中心に大きく伸びている。

 10月は派遣社員の契約更新が4月に次いで多い。特に伸びが大きいのはエンジニアをはじめ専門職だ。建築業やメーカーの引き合いが強く、最大1割の引き上げで決まった。スタッフサービスでは料金が500円上がる例もあった。パーソルテンプスタッフも東京五輪を見すえた建築関連人材の需要が高まり、料金は最大1割上昇した。

 パソナは契約案件の2割で料金が上がった。けん引役となったのが、伝票処理や表計算ソフトのデータ集計といった比較的単純な作業を自動化するロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を担う人材の派遣料金上昇だ。パーソルテンプスタッフでも、RPA導入に携わる社員の派遣料金は事務職のなかでも高い料金で交渉が決着した。

 人材派遣業界では中小業者の淘汰が進み、今後、大手の交渉力が一段と強まる可能性がある。都市部を中心に店を構えるアパレル大手の人材担当者は「人材派遣の単価は年々上昇している」と危機感を強める。今後、料金の上昇が続けば派遣社員を採用するメリットが薄れ、企業が正社員化を進める動きが強まる可能性もある。

 日本人材派遣協会(東京・港)によると、7月時点の派遣会社数は7万8169社。2年間で8%減っている。15年施行の改正派遣法で営業が許可制に一本化された上、人手不足で人材獲得が難しくなり、中小派遣会社の経営環境は厳しさを増している。

 M&A(合併・買収)仲介大手の日本M&Aセンターには先行きに不安を抱えた派遣会社の相談が相次ぐ。事業法人第三部の栗原弘行部長は「派遣会社は人手不足の影響をもろに受けている」と語る。人材派遣大手のUTグループは昨年、5年で150億円のM&A投資枠を設定した。案件次第では増額する。様々な業種や職種に強みを持つ派遣会社を獲得し、社員のキャリア形成につなげる。

 技術者や製造工の派遣を手がけるアウトソーシングはM&A専門子会社を4月に設立した。茂手木雅樹専務は「(派遣会社同士が)一緒になることで採用網や営業拠点といった経営インフラを共有できる」と話す。

日本経済新聞