年金控除
年金控除、富裕層縮小も、所得税改革、自民税調が幹部会合。
自民党税制調査会は7日、党本部で非公式幹部会合を開き、2018年度税制改正の主要テーマについて議論した。論点の一つが所得税改革で、高額な所得を得ながら年金を受給する高齢者の税控除の見直しや、働き方の多様化に即した税制のあり方などを検討する。ただ富裕層に過度な負担を強いるとの慎重論もあり、曲折も予想される。
幹部会合の開催は9月26日以来。この日は12月中旬の与党税制改正大綱決定までの段取りを確認、11月22日から本格的な議論に入る。
自民税調は衆院選での与党圧勝を受け、所得税改革に踏み込む機運が高まったと判断した。格差是正に向け、所得が多いほど税負担の軽減効果が大きい「控除方式」の見直しや、所得の多い高齢者の年金に対する課税強化を議論する見通し。幹部会合では「所得税改革は今年の税制改正で一定の結論を出さないといけない」との意見が出された。
焦点の一つが年金受給者の年金にかかる控除のあり方だ。年金への控除は基礎年金や厚生年金、企業年金などを受給した際の課税所得を圧縮するもの。働く高齢者が増え、高額な報酬を得ながら年金を受け取る高齢者も増えており、給与にかかる控除と年金にかかる控除の「二重取り」の問題が指摘されている。
もともと年金への控除は経済力が衰える高齢者の負担を軽減するのが狙いだ。ところが年金を得ながら高額な所得を得る人にも控除が適用されており、高所得者に過度の恩恵が及んでいるとの指摘が出ている。
賃上げを実施した企業に対する法人税減税も検討課題とする。安倍晋三首相が10月末の経済財政諮問会議で「3%の賃上げが実現するよう期待する」と述べたことを受け、自民税調でも賃上げ率が高い企業への税優遇を検討。企業全体への法人税率の引き下げではなく、現在もある賃上げ企業への優遇策の拡充をはかる。生産性を高めるための投資減税も検討する。
中小企業向けに、事業承継を後押しする税制優遇策にも力を入れる。高齢の経営者の代替わりを促すため、相続税や贈与税を納税猶予する事業承継税制の特例を検討する。現在、雇用維持などを条件に発行済み株式総数の3分の2について8割まで納税を猶予する仕組みがある。これを10年間の特例として条件緩和する策が浮上している。
日本経済新聞
2017年11月8日 10:42 PM | カテゴリー:社労士