3%賃上げ企業

3%賃上げ企業、税優遇、自民税調会長が検討、事業承継も促進。

 自民党税制調査会の宮沢洋一会長は9日、日本経済新聞のインタビューに応じ、2018年度の税制改正で3%以上の賃上げを実施した企業への法人税減税を検討する考えを示した。企業が賃上げした際に増加分の一部を法人税から控除できる所得拡大促進税制を拡充する。中小・零細企業の代替わりを促すため、相続税などの納税猶予の条件を10年間限定で緩和することも表明した。

 自民税調は22日から本格議論に入り、12月14日をめどに18年度の税制改正大綱をまとめる。安倍晋三首相が「3%の賃上げを期待する」と企業に呼びかけたことを受け、法人税の減税措置で後押しする。17年度末に期限が切れる「所得拡大促進税制」の拡充・延長で対応する。宮沢氏は「今の制度の延長線で何ができるか考えるのが現実的だ」と指摘。「数字を超える努力をした企業にどういう恩恵がいくかを考えていく」とも述べた。

 現在の仕組みでは大企業の場合、2%以上の賃上げを条件に給与支給額の増加分の一部を法人税から差し引ける。税制改正では3%以上の賃上げ率で対象を絞り込み、税額控除できる割合を広げる案を検討する考えだ。

 中小・零細企業の代替わりを促すため、相続税や贈与税の納税猶予制度である「事業承継税制」の充実にも意欲を示した。宮沢氏は「10年間で徹底的な世代交代をはかる」と言明した。

 事業承継税制は発行済み株式の3分の2について8割まで納税を猶予する仕組み。5年間、雇用の8割を維持することなどを条件とする。この制度を使いやすくするため雇用維持条件の10年限定での撤廃を検討する。

日本経済新聞