労災認定の企業、「ブラック企業と評価の恐れ」

 過労死などで従業員が労災認定を受けた企業名を開示しないのは違法として、市民団体代表が大阪労働局の不開示決定の

取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が29日、大阪高裁であった。山田知司裁判長は「企業に過失がなくても『ブラック企業』と

評価される恐れがある」として、開示を命じた一審・大阪地裁判決を取り消し、請求を退けた。

 山田裁判長は「情報公開法は法人などの正当な利益を害する恐れがあるものを不開示情報と規定する」と指摘。脳・心疾患に

よる死亡で労災認定されただけでは過失や法令違反があることを意味しないのに「社会的には『過労死』『ブラック企業』という

否定的評価をされ、信用が低下し、利益が害される蓋然性が認められる」として不開示決定は適法と判断した。

 原告の「全国過労死を考える家族の会」代表、寺西笑子さん(63)=京都市=は「働く人の命が使い捨てにされる現状を

改善してほしい。納得がいかない」として上告の方針を明らかにした。

日本経済新聞