賃金上昇は成長持続

政府の緊急経済対策と円安の効果について、第一生命経済研究所は計40・6万人の雇用を生むが、

失業率を0・3ポイント押し下げるだけと試算する。直近の失業率は4・2%。経験的に賃金が上昇に転じる

3・6%には達しないとの見方だ。 名目賃金はリーマン・ショックで景気が落ち込んだ2008年から5%程度

下がった水準のままだ。主因は企業業績の低迷。利益などからどれくらい人件費に振り向けたかを示す

労働分配率は、足元で66%とリーマン危機前より3ポイント程度高い。企業にとって人件費はまだ重荷に

なっている。 企業業績の見通しの悪さも悪材料。鉱工業生産指数が計画からどれほど外れたかを示す

実現率はマイナス2~3%で推移。リーマン危機後の09年より下振れ幅が大きい。 みずほ総合研究所の

山本康雄シニアエコノミストは「賃金上昇には、企業が持続的な成長を信じられるような状況が必要」と指摘する。

政府は13年度の税制改正大綱に賃金を上げた企業の法人税を軽減する政策減税を盛り込んだが、産業界では

「時限的な減税では人件費を増やす誘因にならない」との声が多い。

日本経済新聞