給与の労使交渉
トヨタ205万円 リーマン前に届かず トヨタ自動車など自動車大手の労働組合が13日に要求書を経営側に提出、
2013年春の労使交渉が本格的に始まった。主要労組は賃金改善要求を見送る見通しで、一時金を巡る攻防が
焦点だ。デフレ脱却を目指す安倍政権が企業に賃上げを求めるなか、リーマン・ショック前の水準の回復までは
いかないものの、業績好調な自動車大手を中心に前年を上回る要求額を提示した。一方、不振が続く家電大手では
格差が広がっている。 トヨタ自動車労働組合(鶴岡光行執行委員長、組合員約6万3000人)は13年の春季
労使交渉で、定期昇給にあたる「賃金制度維持分」の月額7300円の確保を目指す。要求についてトヨタの小沢哲
副社長は「(7300円は)2・1%の賃上げに相当する」と指摘する。 一般的に定昇による賃金の伸びは個人単位で
みた場合で会社全体の総人件費は増えないが、年間一時金が組合の要求通り205万円と前年実績より27万円増え
れば、一段の実質的な賃上げにつながる。政府の賃上げ政策にも貢献することになりそうだ。 トヨタ自動車の従業員の
平均年間給与(有価証券報告書ベース)は昨年3月末時点で740万円。リーマン・ショック前の08年3月末(829万円
)と比べ1割低い。今回、トヨタ労組が要求する年間一時金205万円に会社側が満額回答しても、金融危機前の水準には
届かない可能性が高い。トヨタ労組は定昇維持と一時金の満額回答を求める方針だ。 トヨタを含む乗用車8社の労組
すべてがベースアップ相当の賃金改善要求を見送ったが一時金の要求水準で濃淡が出た。 東日本大震災やタイの
洪水による業績悪化を脱したトヨタ、ホンダ、富士重工業の3労組が前年要求を上回る水準を掲げた。中国の不買運動に
よる影響が大きい日産自動車、業績回復途上のマツダなど4労組は前年要求と同水準。スズキの労組は前年要求を下回
った。ただ好不調にかかわらず、いずれも平均年間給与では金融危機前の水準に届かないとみられる。 不振が続く
電機業界ではさらに格差が広がる。 電機各社の労組は13日にパナソニックグループの労組が要求書を提出したのに続き、
14日に日立製作所など各社の労組も提出する予定。 電機各社の労組でつくる電機連合は賃金改善の統一要求を4年
連続で見送る方針。年間一時金については年間5カ月分を中心に最低4カ月分の確保を目指している。 日立製作所の
労組は14日、業績回復を背景に前年獲得実績を0・52カ月上回る5・8カ月分を要求する見通し。1991年の労使交渉以来
の高水準だ。三菱電機の労組もほぼ前年横ばいの5・57カ月分を求めるなどインフラ・重電系は強気だ。 これに対し家電
メーカーは厳しい。経営再建中のシャープは13年夏の賞与について、前年実績から半減することで労使が合意。シャープ
労働組合(津田秋一中央執行委員長)の要求額は統一要求を下回る見通しで、産別の統一交渉からの離脱は避けられない
状況だ。 パナソニックグループ労働組合連合会(PGU、山崎弦一中央執行委員長)も13日、一時金について昨年と同じ
業績連動とする要求書を提出した。
日本経済新聞
2013年2月14日 2:15 PM | カテゴリー:社労士