女性執行役員
茅野みつる氏(46) オランダで生まれ、4歳まで英国で育った。高校生活は米ロサンゼルスで過ごした。
父親が製造物責任訴訟に巻き込まれたのを見て、法律で人を守る仕事につこうと決意。
米コーネル大法科大学院に進学し、現地の法律事務所に入所した。体格はきゃしゃで物腰は柔らかいが、
粘り強い交渉が持ち味。付いたあだ名が「タフ・クッキー」。 しかし一匹おおかみ同士が、時に手段を選ばず
裁判で相手を打ち負かそうとする世界に違和感を覚え始めた。そのころ顧客だった伊藤忠商事から声がかかり、
チームで大仕事をなし遂げようとする和の世界にひかれて転職を決めた。「いつかは日本のために働きたいと
いう思いが強くなっていた」と振り返る。 組織人となってからもタフな交渉ぶりは健在だ。伊藤忠は昨年、
約1350億円で青果物大手、米ドール・フード・カンパニーの一部事業の買収を決めた。社内弁護士として
伊藤忠最大級のM&A(合併・買収)を支えた。「自分ができることよりも、周囲から与えられた役割を全うする
ことが重要」と語る。 大手商社で執行役員に昇格するのはだいたい50代半ば。46歳は断トツに若い。
しかも女性執行役員の誕生は大手商社で初めて。何かと注目を集める存在となったが、「女性だからではなく、
一人の人間としての仕事ぶりが評価されただけ」と気負いはない。(産業部 京塚環)
ちの・みつる1966年生まれ。2000年伊藤忠商事入社、4月1日付で執行役員に。新婚旅行と大型投資案件
の交渉が重なり、旅行を途中で切り上げた。子供のころの夢は声楽家。今も定期的にオペラコンサートを開く。
日本経済新聞
2013年2月18日 4:34 PM | カテゴリー:社労士