建設社員自殺は労災

建設社員自殺は労災、新国立施工で労基署認定。

 新国立競技場の施工管理業務に従事していた建設会社の新入男性社員(当時23)が自殺した問題で、新宿労働基準監督署(東京・新宿)が、男性が自殺したのは極度の長時間労働が原因だとして労災認定したことが10日、分かった。労基署は自殺するまでの1カ月間の時間外労働が約190時間だったと認定した。認定は6日付。
 遺族側の代理人弁護士が都内で記者会見し、明らかにした。弁護士によると、男性は昨年4月に地盤改良工事などを請け負う三信建設工業(東京・台東)に入社。昨年12月に新国立競技場の施工管理業務に従事した。
 建設現場では、工期の遅れから深夜労働や徹夜の作業も珍しくなく、男性は業務上のストレスで精神疾患を発症。今年3月に失踪し、4月に長野県で遺体が見つかった。
 精神疾患の発症による労災認定の基準では、1カ月に時間外労働が160時間を超える場合などを「極度の長時間労働」とし、強い心理的負荷があったとして労災認定が決まる。男性はこれに該当した。
 労災認定を受けて男性の両親は「このような不幸を二度と繰り返さないよう、深い反省のもと社員の労働環境の改善に力を尽くしていただきたい」とするコメントを公表した。三信建設工業は「ご遺族に心よりおわび申し上げます。改めて事態を重く受け止め、労働環境の改善に力を尽くします」と話している。

日本経済新聞