労災適用でフリーランス支援

フリーランス支援、法整備、厚労省、労災適用など検討、デジタル経済へ対応。
インターネット経由で請け負う仕事が広がり、独立自営で働くフリーランスが増えている。働き方を自由に選べるようになる一方、弱い立場になる人も多い。厚生労働省はフリーランスの仕事中のケガや病気を補償する労災保険の適用や、取引先企業と対等な立場を保つための契約ルールの整備を検討する。デジタル経済の進化に向け、健全な労働環境を整える。

 

特定の企業に専従せずに技能を提供することで報酬を得るフリーランスは、もともとカメラマンやコンサルタント、小説家など限られた領域の働き方だった。

 

ところが経済のデジタル化やシェアエコノミーの進展によって、IT関連の独立技術者やネット経由で仕事を請け負う「クラウドワーカー」が拡大。クラウドソーシング大手のランサーズ(東京・渋谷)によると、広義のフリーランスは2016年に1千万人を超えた。

 

時間や場所に縛られない働き方に魅力を感じ、会社勤めを辞めて独立する人が目立つ。介護や育児など様々な制約を抱えながら働く人の選択肢にもなっている。

 

ただこうした労働市場の拡大に伴い、働き方の課題が浮上している。一つは特定の企業に仕事を依存して実質的に労働者のような立場に置かれた人が多いことだ。

 

独立した個人事業主であるフリーランスは本来取引先企業と対等な立場だが、契約書がなかったり、一方的に報酬の減額を強要されたりする例が指摘されている。厚労省のヒアリングでは「契約にない新人社員の教育を強要されることもある」との報告もあった。

 

労働政策研究・研修機構の17年の調査によると、1年間の仕事の取引先が1社しかない人が4割を占めた。主な取引先との契約内容を「協議して決定した」人は47%にとどまり、「取引先が一方的に決定」が24%、「やり取りはなかった」も14%に上った。

 

契約や支払いに関して企業と企業の取引ルールは下請法で規定されている。個人であるフリーランスも対象だが、取引先の資本金などに応じて全員には適用されず、法の死角になっているのが現状だ。 厚労省はこうした働き方を「雇用類似」と位置づけ、労働法制による一定の保護を導入する方向だ。具体的には、取引先との契約内容を書面などで明確にすることを検討する。トラブルの相談窓口や報酬の支払い遅延・減額を禁止するルールの整備を求める声もある。

 

さらに、フリーランスへの労災保険の適用も検討する。いまは病気やケガへの安全網がなく、貯蓄を取り崩して生活費を賄う事態になりがちだ。仕事や通勤中の災害でケガや病気になった際に療養費や休業に必要なお金を給付する。

 

通常、労働者を雇う企業が保険料を全額負担するが、フリーランスは自己負担とする方向で調整する。個人タクシーの運転手や大工、左官らを対象にした特別加入の枠組みを広げる方向で、デザイナーや技術者などが新たに入る可能性がある。厚労省は保護策の方向性を19年夏にも有識者検討会でまとめる方針だ。

 

フリーランスについては公正取引委員会も昨年2月、独占禁止法で保護する運用指針をまとめた。企業が秘密保持を盾に他社との契約を過度に制限したり、イラストやソフトなどの成果物に必要以上に転用制限をかけたりすれば、「優越的地位の乱用」にあたる恐れがあると指摘。賃金の上昇を防ぐために企業間で引き抜き禁止を取り決めることも独占禁止法違反になりうると明示した。

 
日本経済新聞