助成金手続きのオンライン化

オンラインで手続き完結、社会保険や補助金申請、中小の負担軽く、20年度から
政府は2020年度から、主に中小企業向けに行政手続きを簡素にする方針だ。補助金の申請や社会保険の手続きについて、オンラインで完結できるようにする。中小企業でも人手不足が深刻になり、20年度からは時間外労働の上限規制が適用される予定だ。役所の都合で膨らんできた企業の業務負担を大きく軽減し、効率的な働き方の実現を後押しする。

行政手続きの簡素化は、法人のマイナンバーにあたる法人番号を行政サービスのIDとして活用する。IDとパスワードを組み合わせ、ネット上ですべての手続きを済ませられるようにする。

政府の規制改革推進会議で情報の保護などセキュリティー面などの課題を詰めたうえで、19年半ばに改革案をまとめる。19年度は経済産業省がものづくり補助金などを対象に先行して始め、20年度から全省庁に広げることを想定している。

補助金の申請では、紙の申請書を作ったり、窓口を訪問して書類を提出したりする必要がなくなる。補助金の申請には決算情報を3年分提出する必要がある。社名や資本金などを含め、こうした基本情報はいったんオンラインで入力すれば登録され、別の補助金の申請でもそのまま使える。補助金によってばらばらだった申請様式も統一される。政府は利用を拡大するため、地方自治体にも広く参加を促す方針だ。

社会保険に関する手続きでは、20年度から厚生年金や雇用保険などについてID方式を導入し、オンラインで済ませられるようにする。中小企業では従業員が就職・退職するたびにハローワークや年金事務所など複数の窓口に出向いて書類を提出する必要があった。

これまでも政府は行政手続きのオンライン化を進めてきたが、結局は手続きの途中で窓口を訪れる必要があったり、電子署名と呼ばれる証明書を取得するための費用がかかったりするなど、使い勝手が悪いとの声が多かった。中小企業の業界団体などは「省庁共通のルールで簡単な手続きにしてほしい」といった要望を政府に出していた。

大企業では補助金や社会保険などを取り扱う専門の担当者がいることが多いが、従業員が少ない中小企業では、行政手続きそのものが大きな負担になっている。18年には働き方改革関連法が成立し、最大でも年720時間とする残業規制の導入が決まった。大企業は19年度からだが、中小企業は20年度から適用される予定だ。

内閣府の調査では補助金の1件当たりの作業時間は37・6時間、社会保険は2・1時間かかっている。中小企業は小規模事業者を含めて約360万社あり、日本の企業数の99%を占める。中小企業に負担を強いるお役所仕事を効率化すれば、日本全体の生産性向上にもつながるとみている。

日本経済新聞