幼保一体、待機児童解消に壁

 政府は20日、2013年度の創設を目指す子育て支援新制度の最終案を固めた。

子ども向け施設を質・量ともに拡充するため、幼児教育と保育を一体的に運営する

「総合こども園」を設ける。だが幼稚園や私学助成の存続を容認するなど、

大幅な後退を迫られた面は否めない。企業参入への規制も強く、待機児童の

解消につながるかどうかは不透明だ。 新制度は社会保障と税の一体改革の

柱のひとつ。同日開いた子ども・子育て新システム検討会議の作業部会に、

最終案を提示した。今月末にも正式にまとめる。 政府は24日召集の通常国会で、

子ども・子育て支援法と総合こども園法の成立を目指す。消費税増税の実施に

併せて本格施行したい考えだ。 就学前の子ども向け施設は現在、保育所、

幼稚園、幼保一体型の認定こども園の3種類に分かれる。新制度では(1)

総合こども園(2)幼稚園と保育所のどちらかの機能を持つこども園(3)

従来型の幼稚園――に再編する。

政府はすべての幼稚園と保育所を、幼保一体型の施設に移行させる方向で

検討してきた。厚生労働省所管の保育所運営費と文部科学省所管の私学助成も

見直し、「こども園給付」に衣替えして支給する方針だった。

 ただ一部の幼稚園が「教育の独自性が失われる」と反発。幼保一体型の施設

への移行を望まない幼稚園の存続を認め、私学助成も残すことで決着した。

 全国2万3000カ所の保育所の大半は、新制度の本格施行から3年程度で

総合こども園に移り、幼児教育と保育を一体的に提供できるようになる。

 しかし、定員割れの幼稚園を保育施設として活用できなければ、待機児童が

思うように減らない可能性もある。 企業の参入が進まない恐れもある。

企業が総合こども園に参入する場合は認可制となり、配当は規制される。

新制度では地方自治体が子ども向け施設の設置計画をつくる権限を持つため、

必要量を満たしたと判断すればそれ以上施設を設けることができなくなる。

市町村の総量規制も懸念材料だ。 新制度の所管は内閣府、厚労、文科の

3府省にまたがる。民主党が09年の衆院選マニフェスト(政権公約)で

掲げた「子ども家庭省」の設置は先送りする。 新制度による子育て支援の

充実は1兆円の追加財源を必要とする。政府は消費税増税で7000億円を

まかなう方針だが、残りをどう調達するかは未定だ。国や自治体、事業者の

負担割合も詰まっていない。

日本経済新聞