年金、50代半ば以下では負担が超、世代別の試算

 国民年金や厚生年金などの公的年金をもらえる額から支払った額を

差し引いた生涯収支を世代間で比べると、50歳代半ば以下の世代で

支払いの方が多くなることが、内閣府経済社会総合研究所の試算で

わかった。赤字の額はデフレが長引くほど拡大する。政府・民主党が

着手する年金改革では、年金の負担と給付の世代間の格差を緩和する

ために、現在の高齢者が受け取る年金額の抑制も課題になりそうだ。

 試算では現行制度の国民、厚生、共済の各年金を対象に1人あたりの

「保険料支払額(企業負担含む)」と「年金受取額」を5歳刻みで算出。

物価上昇率を年1%程度、年金積立金の名目運用利回りを4%とした

試算を「標準ケース」とし、将来の支払額と受取額を現在の価値に

引き戻して調整した。社会保障・税の一体改革を実施しても負担と受給の

関係は大きくは変わらないという。 1950年生まれ(62歳)では生涯の

保険料の支払額が1436万円、受取額は1938万円で502万円の

受け取り超過となる。だが、55年生まれ(57歳)世代の収支は数千円

のプラスに縮小し、それ以下の世代の収支はマイナスになる。最も損を

する85年生まれ(27歳)は712万円の受け取り不足。20年間年金を

もらうと仮定した場合に、月3万円ずつ足りない計算だ。 企業負担を

除いて見た場合、自己負担がおおむね半分として計算すると、

90年生まれの人の自己負担額は約960万円。年金受取額は1200万円

強なので、まだ制度に加入する恩恵はある。ただ、企業負担分を受け取り、

個人で運用した方が生涯収支は得と見ることもでき、若い世代の公的年金

離れにつながる懸念もある。 若い世代ほど不利になるのは41年4月2日

生まれ以降の男性から年金の支給開始年齢が徐々に上がったほか、

2004年の年金改革で決まった保険料の引き上げで負担も重くなって

いるためだ。 政府は一体改革で、こうした世代間格差の是正のために

高齢者の負担増と年金給付の抑制を課題に掲げているが、踏み込み不足

の感は否めない。消費税率の引き上げはすべての消費者にかかるため、

高齢者には、社会保障費負担の後払いという性格もある。一方、給付抑制

策については政府は結論を事実上先送りしている。

日本経済新聞