メンタルヘルス不全は、現代病 であり、ストレス社会のなかでいわゆる「うつ病」と診断される病気は確実に増加しています。 労働時間の増加や環境の変化などで、不安やストレスを抱えている人は多いのではないでしょうか? どんな人でもメンタルヘルス不全になる可能性を持っています。 厚生労働省は、2000年8月に労働者の心の健康を保持することを目標にした「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」が発表し、職場が自主的にメンタルヘルスに取り組むことを推奨していますが、実際にはなかなか取り組めていないのが現状のようです。 |
メンタルヘルス対策は、企業のリスクマネジメントとして取り組まなければならない重要な課題となっています。 事業主は、従業員の健康を確保し、職場の安全に配慮するという「安全配慮義務」という法的な義務の中で、過労や職場環境の問題を解決していかなければなりません。 特に中小事業主さんは、「うちは規模が小さいから、メンタルヘルス対策なんて」とよく言われますが、従業員の職場での心の不安やストレスは、そのまま放置していると「うつ」などの心の病気になったり、最悪の場合には「自殺」ということにもなりかねません。 もし過労自殺で従業員が亡くなって「安全配慮義務」違反があった場合、その遺族の訴えで訴訟にでもなったら、ほとんど勝てる見込みはありません。 高額な損害賠償を支払う羽目になってしまいます。 裁判での費用やそれに費やす時間、気になって仕事どころではありません。 また、従業員が「うつ」などで長期の休業になったりした場合、代替員の手配や仕事の割り振りなど、しなくていい仕事が増えてしまいます。 こんな場合でも、すぐに首を切ってしまう事業主さんがいますが、訴えられたら勝ち目の無いことは覚えておいて下さい。 中小事業主さんこそ継続したメンタルヘルス教育で、従業員はもちろんのこと、管理監督者にもメンタルヘルス不全者を出さない職場にすることが一番の方法なのです。 |
社員へのメンタルヘルス教育研修の企画・実施しましょう! 心の病を未然に防ぐには社員一人ひとりがメンタルヘルスに関する正しい知識を持ち自分自身のストレスに適切に対処できるようになることが大切です。 会社側としては労働者に対して繰り返し教育・情報提供を行うことにより、ストレスへの気づき、ストレスの予防や対処の方法などについて知識をもつように啓蒙し、メンタルヘルスに対する意識を高めていくことが重要となります。 メンタルヘルスを行っていく場合、企業として社員にどこまで支援していけるかということをはっきりさせることが必要です。逆に言うとこれ以上は支援できないという線引きをすることです。企業の目的は利潤の追求です。病気になった社員は切り捨てろと言っているわけではありませんが、企業としての本来の目的を忘れてはなりません。 ■社内ルールの明確化 会社としてはまず整備しておくべきことは就業規則に休職事由を規定していくことが必要です。 企業の人事労務管理において就業規則の整備は必要不可欠ですが、それはメンタルヘルス対策においても同様です。 例えばうつ病により社員の一人が休職することになった場合を例にして考えてみます。本人が回復するまで休職を認め、復帰後もいきなりバリバリ働いてもらうのではなく、体調をみながら少しずつ身体を慣らしていくよう、会社としてはできる限りの配慮が必要ですが、それを実際に支えるのは周囲の人々の力が必要不可欠です。休職期間がハッキリしないために上司や同僚などが不安や負担を感じるようでは良い支援を期待することはできなくなります。 会社側から「本人の体調がよくなるまでフォローするように」と言われても、いつまでフォローすればいいのかハッキリせず漠然としていたら、上司や同僚の負担感は少なくないと思われます。それよりも、就業規則により「最大でも何ヶ月まで」と明確にしていた方が、納得を得られやすいでしょう。本人をフォローする上司や同僚のために就業規則を整備することは、結局本人のためにもなるといえるのです。 また、うつ病で休職する本人にとっても、休職期間中の処遇や休職期間の延長などについてきちんと明確にされていた方が、安心して休養に専念することができると思われます。就業規則により休職の扱いについてきちんとした定めがないと、「直属の上司は直るまで休んでいていい、と言ったけど、うちの会社のことだから結局は解雇されるのでは」というように不安を抱える可能性があるからです。したがって、就業規則の整備は本人のためにも意味のあることなのです。 ■産業医の診断を受ける体制作り 中小企業の現場を理解している産業医の選任産業医は全国に7万人いますが、メンタルヘルスについて対応できる産業医はそう多くはいません。例えばうつ病で休業していた社員が復帰する時に「現場で業務に支障をしたさないように就労できるかどうか」を見極めることができる産業医が果たしてどれくらいいるでしょうか。就労の可否の判断は難しいかもしれませんが、産業の場をきちんと理解している産業医の診断を受ける体制づくりも必要です。 ■社員個人にメンタルヘルスに関する正しい知識を教育・情報提供しましょう! 社員個人のストレス対処能力を向上させるには、社員がメンタルヘルスに関する正しい知識を持ち自分自身のストレスに適切に対処できるようになることが大切です。 会社側としては労働者に対して繰り返し教育・情報提供を行うことにより、ストレスの予防や対処の方法などについて知識をもつように啓蒙し、メンタルヘルスに対する意識を高めていくことが重要となります。 |